ミネラルウォーター製造4/6:事例1:「こうして私は会社を売却しました。」中小企業のM&A実例
2)筆者による回想録及び分析
(1)M&A成功のポイント
●社長の人間性
・社員任せでなく社長自身が窓口となり、真摯にM&A成約に向き合った。
・仲介会社である弊社を信頼してくれ、アドバイスにも忠実に聞いてくれた。
・何としてでも譲渡するという意志が強かった。
●譲受希望会社に対する説明能力
・譲受希望会社からの質問に誠実に継続して粘り強く対応した。何度も直接説明に出向いたことにより信頼と安心感を与えた。
・M&Aによる相乗効果を仲介会社と綿密な打ち合わせを重ね、数字と文章でわかりやすく説明できた。
M&Aでは、会社の財務数値のみで全てが決まってしまうイメージがありますが、中小企業のM&Aでは財務数値というよりは、むしろ社長の人間性がM&A成功に大きく関係しているという印象があります。
社長自らがM&Aに取り組み、会社の状況や相手からの質問について対応する姿勢は、何よりもM&Aを推進する大きな力になります。また、弊社のアドバイスを真剣に聞いてくれ、取り入れてくださったことも、成功のポイントだと思います。
(2)M&Aに向けて問題となったこと
●債務超過である同社の事業計画
●帰郷まで時間が短く、迅速な売却が必要だった。
●厳しい状況にもかかわらず、譲渡金額は一歩も譲らなかったことによりかなりの時間を要した。
A社は債務超過だった為、譲受後、譲受希望会社の負担が大きくなってしまう状況でした。弊社の推進するM&Aでは、譲渡会社と譲受会社双方がよりよい結果になるM&Aを目指しているので、財務数値の改善が急務でした。
また、譲渡に際し、譲渡条件にはある程度幅を持たせる必要があります。M&Aは相手あってのことだからです。
特に、例えば今回のように譲渡完了までの期間を早くしたい場合は、譲渡金額を含め条件を変えていく必要も出てくるのですが、A社の場合は譲渡金額をまったく譲らなかったので、交渉に思ったより時間がかかりました。
(第4回終/全6回)
中小企業のM&A実例/事例1:ミネラルウォーター製造のケース(第1回)
中小企業のM&A実例/事例1:ミネラルウォーター製造のケース(第2回)
中小企業のM&A実例/事例1:ミネラルウォーター製造のケース(第3回)
中小企業のM&A実例/事例1:ミネラルウォーター製造のケース(第5回)
中小企業のM&A実例/事例1:ミネラルウォーター製造のケース(第6回)