買収したばかりの会社の売却を決意した社長の切実なワケ

買収したばかりの会社の売却を決意した社長の切実なワケ

「事業部売却!! M&Aによる企業再生の道」人材派遣会社のケース(第1回)

社長の健康問題によりノンコアの事業会社を売却した事例:人材派遣会社のケース(第1回/全3回)
~ゼネコン関係の測量事業に注力するため、ノンコア事業の人材派遣会社を売却/多角経営から事業のスリム化へ、遠方の社員掌握の難しさ~

事業部売却 人材派遣会社のケース

「事業の選択と集中」、つまり複数の事業を行っている場合に事業セグメントを取捨選択し、経営資源を集約するには、M&Aによる会社・事業の譲渡が効果的です。経営資源を有効利用させ、選択した事業の発展の礎にすることが出来ます。
社長の健康問題により社内事業のスリム化を目指し、ノンコア事業をM&Aにより売却した実例として、ご参考にして頂ければと思います。

図1.M&Aの概要
 

人材派遣会社の特長と遠方ゆえのマネジメントの難しさ

売り手A社は、行政の仕事を多く請け負う、首都圏の測量会社です。A社長はM&Aに非常に積極的な社長で、以前から、弊社を仲介として測量事業関係の会社を複数回にわたり買収してきた経緯があります。

そのA社長から、久し振りに電話がありました。他の仲介会社からM&Aで買収した、東北の人材派遣会社C社を売却したいというのです。しかも、その会社を買収したのはわずか1年前という事でした。聞けば、そのC社は建設、土木、測量の人材派遣、請負業務を行っている会社で、次のような特長があります。
<人材派遣会社C社の特長>
・顧客は大手企業(ゼネコン等)
・取得認可は特定労働者派遣事業、測量業、一般建設業

A社は測量会社として主に行政の仕事を行っていますが、C社を買収すればゼネコンからの仕事も手掛けることが出来、シナジーがあるだろうという考えから、譲り受けたとのことです。
ところが、実際には東北のゼネコンは、都内ゼネコンとは異なり、支店対応となっており、当初目論んでいたA社の測量事業とのシナジーが生まれませんでした。また、C社は東北にあります。A社長は常駐こそできないにしても、まずはオーナー社長である自分が頻繁にC社に行かなければ質の高い仕事は出来ないという考えから、最初は週末を利用して東北へ移動したりしていましたが、首都圏のA社と東北のC社を行ったり来たりするハードな生活から体調を崩して持病が悪化してしまい、買収してからわずか1年ちょっとで売却を決意したとのでした。

人材派遣会社の売却を決断したもう一つの切実な理由とは

ところが、A社長がC社売却を希望するのには、実はもう一つ大きな理由がありました。それは、遠方のC社社員達との人間関係です。

A社長がC社を引き継ぐ時の前社長は、C社の創業社長です。A社長によれば、前社長はいわゆる昔ながらの経営スタイルの社長で、倹約をモットーとし、社員が日頃乗っている営業車や事務所も非常に古く、ポンコツの車を修理しながら無理やり使わせている状況でした。従業員も、前社長に文句も言わず、従順に一生懸命働いていた状況だったそうです。
そんな中、A社長がC社を譲り受けた後、C社従業員から出た営業車への苦情にA社長は即座に対応。実際、従業員からの言い分ももっともで、車の修理コストは年間かなりの金額になっていたこと、従業員が車を毎日の通勤にも使っている状況から、A社長は重大な車両トラブルが起こってしまっては危険と判断し、約20台ある営業車をすべて新しい車に入れ替えたのです。結果、無駄なコストとも言える、毎年大きな金額に嵩んでいた車の修理費がなくなり、従業員にとって働きやすい状況へと改善しました。

しかし、A社長がC社の従業員の為にと思って車を総入れ替えするという大きな決断をしたにもかかわらず、従業員はA社長に感謝してついてくるどころか、むしろ今までの前社長のやり方への不満が次々に噴出する形になってしまいます。次に出てきたのが、事務所への不満です。前社長が使っていた事務所は、驚くほどぼろぼろの古い事務所で、劣悪な職場環境だというのです。A社長は事務所については、もともといずれは別の場所に引っ越そうと思っていたこともあり、どうせならとすぐに新しいところに引越しました。

営業車の入れ替えや事務所の引っ越しは、あくまでもA社長の経営判断で行ったことなのですが、実際は従業員の要望を次々に叶える形になってしまい、逆に、仕事上厳しい改善を求めてもなかなかついてこなくなってしまったそうです。また、C社がA社と遠方にある為A社長がなかなか出社できない中、無理がたたり持病が悪化して次第に足が遠のいていったことから、C社従業員の人心掌握がかなり難しくなってしまったようです。

A社長は体に鞭を打ち、必死に東北のC社に通って直に従業員と働く時間を持ち、C社を更に良くしていこうと頑張っていたものの、気づけば以前の従順で一生懸命な従業員達は、不満ばかり言ってA社長の経営の考えに反対するようになっていました。A社長は、C社を経営していくことに限界を感じ、C社を手放すことを決意したのです。
(第1回/全3回)



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