米ゾエティス日本法人、プラントヘルス事業を日本曹達に売却

米ゾエティス日本法人、プラントヘルス事業を日本曹達に売却

ゾエティスプラントヘルス事業
2017.12.1

動物向け医薬品の世界大手、米ゾエティス日本法人(東京・渋谷)は、同社プラントヘルス事業を、化学品を取り扱う日本曹達株式会社(東京・千代田)に売却する契約を12月1日付けで締結した。
ゾエティス社は、ファイザー株式会社のアニマルヘルス事業部門が独立して平成25年4月1に設立された企業だ。動物用医薬品、飼料添加農業などの製造・販売および輸出入を主事業とし、森林防疫薬剤や農業用薬剤を販売するプラントヘルス事業も展開してきた。ゾエティス社のプラントヘルス事業は、大きく「グリーンガード剤」、「アグリマイシン剤」の2つの製品分野で構成されている。ファイザー社時代からの実績で、高い信頼を得ている事業だ。
ゾエティス社の「グリーンガード剤」は、森林防疫市場で広く使用されているものだ。本契約により、日本曹達グループは松枯れ防除薬剤の国内トップシェアを獲得することになる。グリーンガード剤は松の木からマツ材線虫病を予防する樹幹注入剤で、松枯れの防除に優れた効力があり、日本各地で起こっている松枯れ問題への解決策となる。
また、「アグリマイシン剤」は、植物の細菌病を予防する抗生物質製剤だ。果樹や野菜類の細菌性病害を防除する効果がある。温暖化の進展や多雨の影響により、今後さらなる需要拡大が想定される。
日本曹達は、プラントヘルス事業の製品ラインナップの拡充や既存製品とのシナジーを期待する。さらに、日本曹達は事業取得後に、同社グループのリソースにより、開発・マーケティングを推進することで、中期的な事業拡大を目指す。

コメント

日本曹達グループは、2017年5 月に策定した中期経営計画の中で、既存事業強化や周辺事業拡大のため、M&A や事業提携を積極的に推進することをかかげています。500億円の投資枠のうち、200億円をM&Aにあてる方針と報じられています。日本曹達にとっては、今回の買収はこの中期計画の一環であり、さらなる企業価値の向上を狙うものです。ゾエティス社の製品を取得することで、さらに提案の幅を広げ、公共事業などの獲得を期待しています。また、インド、ブラジル、欧州など海外展開に注力する中で、日本と同様に松枯れ被害がある韓国や台湾向けにも販売を検討するきっかけとなるなど、今回のM&Aがさらなる成長のきっかけとなる見込みです。

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