事業承継の成功・失敗の実例から学ぶ、M&A成功の条件とは:M&A失敗事例/ビルメンテナンス会社のケース(第2回/全2回)

事業承継の成功・失敗の実例から学ぶ、M&A成功の条件とは:M&A失敗事例/ビルメンテナンス会社のケース(第2回/全2回)

早速トップ面談を行い、具体的な条件交渉に入りました。売り手D社長は最近の業績が思わしくないことを正直に伝え支援を依頼しました。譲渡条件は、至急基本合意を行うこと、現社長は会長職として留任し月額でかなりの額の報酬が支払われることを条件に、弊社の算定より大幅に低い譲渡金額で交渉がまとまりました。売り手D社長は一時金としては大幅に少ないものの、大きな年間収入が引き続き見込めることに利点を感じ、承諾しました。

その後、詳細条件の調整を行い無事基本合意書の締結を終えました。あとは買収監査(以下、DD)を行い、最終契約という流れですが、数日後にD社の所属団体のゴルフコンペがあるので、E社長を紹介したいという話になりました。M&Aの正式契約前は、当事者同士のみの会食でさえもご法度だと強く訴えましたが聞いてもらえませんでした。
 (譲渡・譲受会社の成功ポイント:アドバイザーのアドバイスに耳を傾ける)

結果として、実際にゴルフコンペに当事者同士で参加してしまい、案の定不安に感じていたことが現実化してしまいました。お互いの価値観の違いなど本来M&Aには一見無関係とも思われる事柄で当事者同士が衝突してしまったのです。それは売り手D社長が高級外車でゴルフ場に来たこと、加えて他の参加メンバーの金銭感覚が買い手E社長には贅沢に映ったためでした。
(譲受会社の成功ポイント:買い手は売り手を尊重すべし)

更に、そのような中D.D.が行われ、本来であれば中小企業のM&Aの経験のある専門家に依頼し、従業員に秘密裏に行うようE社長に強く訴えたにもかかわらず、コストをかけたくないという理由で、経理担当者が就業時間内に数日間にわたり行ってしまいました。 自分本位なD.D.を行った挙句、D社長への報酬を大幅減額したいとまで言い始めました。

それまでは何としても成約してほしいことから暴走していた売り手D社長も激怒し、これまでの弊社の助言を無視し直接話を進めたことを詫びると同時に基本合意を破棄してほしいと言い出しました。
M&Aでは直接交渉を行ってはならないのは鉄則です。仮に一時は意気投合したとしても、何かをきっかけに対立してしまう危険があるからです。感情のぶつかり合いを避けるためにも仲介会社を挟んで交渉する必要があります。
 (譲渡・譲受会社の成功ポイント:当事者同士の直接交渉はしない)

結果的にビル管理会社E社長との交渉は決裂してしまいました。幸いにも売り手D社長に、その後別の会社をご紹介し譲渡は実現できましたが、買い手のE社はM&A交渉は失敗した結果となってしまいました。 オーナー会社の事業承継では、お互いの企業文化や価値観を尊重しあってこそ企業同士の良い縁組となります。
(譲受会社の成功ポイント:売り手の企業文化を尊重すべし)

(第2回終/全2回)

第1回:事業承継の成功・失敗の実例から学ぶ、M&A成功の条件とは:M&A失敗事例/ビルメンテナンス会社のケース(第1回/全2回)

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