弁当ケータリング事業3/4:事例2:事業部売却!M&Aによる企業再生の道

「事業部売却!! M&Aによる企業再生の道」
●ノンコア事業部門の売却により本業回帰に成功した事例:弁当ケータリング事業のケース
〜本業に注力するため、ノンコア事業の弁当ケータリング事業を売却〜(第3回/全4回)
(前回までのあらすじ)
ノンコア事業の弁当ケータリング事業の売却において、M&Aの譲渡スキーム(株式譲渡か事業譲渡か)の決定で紛糾します。弊社は今回のケースでは従業員とのトラブルが起きにくい、譲渡後のリスクが少ない株式譲渡を進めたのに対し、売り手の弁護士は手続きが簡単だからと事業譲渡を進め・・・。

譲渡スキームによるM&A後の違い〜M&A後を見据えた判断の重要性

M&Aにおける問題点〜株式譲渡か事業譲渡か、譲渡スキームの選択(続き)

結局、ミーティング中にC氏や弁護士達にいくらご説明しても、一向にわかってもらえませんでした。別の日に、弊社と提携している司法書士等を同席させ、普段通りスケジュールも含め具体的かつ詳しくご説明したのですが、A社の顧問弁護士は面子もあったせいか、弊社の意見を否定するばかりでした。また、C氏がA社長に報告し説明した時も、弊社の真意がまったく伝わらなかったようでした。意思決定者であるA社長と、仲介者である弊社との間に大勢の人間が介在しているためです。A社長とすれば、従業員が辞めようが、A社と従業員の間でトラブルにならなければいい、B社に買ってもらえればそれでいい、ということでした。

企業再生では、非常に生々しい話をせざるを得ない場面が多いので、社長ではなく窓口担当者が立てられることが多いですが、その人選は重要な意味を持ちます。社長に成り代わって、社長の意向を現場に落とし込み、現場の状況を正確に社長に伝える手腕が必要です。また、何といっても会社に対する愛社心と言いますか、会社を何とか立て直したいという真摯な姿勢、買い手に対する誠実な対応が求められます。

今回のケースでは、窓口担当者となったC氏の立場は苦しいものでした。A社は弁当業には精通しているものの、M&Aについては何の知識もなかったC氏からすれば、判断のしようもなかったのかもしれません。A社側もC氏に任せっきりで、A社長本人もまったくM&Aに関わろうとせず、M&Aに関する責任者が不在の状況だったのです。

結局、C氏がA社長と現場の橋渡しや交通整理をしっかり行えたとは言い難く、むしろ分社化は面倒くさいと決めつけ、そんな手間暇をかけるのは嫌だ、顧問弁護士も株式譲渡と事業譲渡は同じと言っているのであれば事業譲渡でいいだろう、という安直な考えで譲渡スキームの方向性が決まってしまったのです。

買い手が従業員流出を懸念し譲渡金額を大幅変更

B社長に譲渡スキームは事業譲渡で決まった旨を伝えたところ、B社との雇用契約でのタイミングで従業員が辞めてしまうと非常に困るので、辞めてしまう予想人数を見込んで、前もって譲渡金額を減額してもらえないかと打診がありました。B社から提示された金額はかなり思い切った金額でしたが、早急に売却したいA社はその減額を飲み、M&Aが進行しました。

M&A完了後の買い手B社の状況

譲渡による従業員異動に対して慎重にM&Aを進めていったものの、案の定、B社に譲渡された後に弁当ケータリング事業に携わっていた元A社の従業員は、結局、キーマンを含む数人から退職希望が出てしまいました。その数は、B社長が予想していた人数を超えていたと聞きます。B社は、ディール金額は大幅に安く抑えることに成功したものの、従業員の流出という、大きなマイナスを被ることになってしまいました。予定していた業績も、思い通りにいかなかったようです。

M&A完了後の売り手A社の状況

一方の売り手A社は、譲渡金額は下がってしまったものの、予定通り本業に資本を集中させ、立て直しを図ることが出来たため、ひと安心だったようです。また、A社長は当該事業の従業員とA社との間で譲渡にあたり問題が起きなかったことに安堵し、彼らとのトラブルに今後悩まされることがなくなったと、重荷が下りたようでした。
(第3回終/全4回)


事業部売却!M&Aによる企業再生の道/事例2:弁当ケータリング事業のケース(第1回)
事業部売却!M&Aによる企業再生の道/事例2:弁当ケータリング事業のケース(第2回)
事業部売却!M&Aによる企業再生の道/事例2:弁当ケータリング事業のケース(第4回)

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