2009年

事業譲渡の従業員引き受けについて

M&A

事業譲渡の従業員の引き受けについて
M&Aのメリットとして「時間を買う」こと以外に、「人材・ノウハウを買う」という一面もあります。そこで今日は、従業員の引き受けについて綴りたいと思います。

株式譲渡とは違い、事業譲渡の場合は従業員引き受けに関しては、売り手・買い手の間で話し合いとなります。

店舗の事業譲渡などでも、従業員を引き受けてほしいと考える売り手企業は多く、従業員を面接のうえ引き受けというケースがあります。

そこで買い手企業の面接について重要なことをお知らせします。

1.  M&A時の面接は、極力トップがひとりで行う。
2.  面接では、経営理念や想いを語ることで共感をしてもらうことが何よりも大事。
3.  給与など条件面は一定期間据え置きし、その後検討することを伝える。
4.  新従業員になる人材を差別しないとはっきり伝える。
5.  それまでの企業文化や考え方、システムを尊重したうえで、新会社のやり方を理解してもらう。

一見、当たり前のことのようですが、ここでつまずく会社があります。失敗例としては社長を含めて役員数人でひとりの従業員を前に質問攻めにしてしまう、それまでのやり方を全面的に否定してしまい、離職率が高くなってしまったというケースもあります。

M&A成功の秘訣のひとつとして、相手企業を尊重するという考え方が非常に重要です。従って平素以上に気をつかってあげる必要あります。

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事業譲渡時の残リースの処理について(売り手企業向け)

M&A

事業譲渡時の残リースの処理について(売り手企業向け)

事業譲渡を行う際によく課題になるのが、リース物件の名義変更や自動車ローンなどの契約人変更、名義変更についてです。

事業譲渡の場合は株式譲渡と違い、交渉によって譲渡したい資産や負債の移転ができますが、債権者などの了解が必要になります。

1. 残リースの契約人、連帯保証人の変更について
リース物件は所有権がリース会社にありますので、移転するときは、リース会社の了解が必要となります。

リース契約は代表者が個人保証をしているケースが多く、時には第三者保証をしているケースもあります。特に設備や什器などの高額物件で残リース金額が大きいリース物件を譲渡する場合は、契約人変更や連帯保証人変更が可能かどうかをリース会社に事前に確認しておく必要があります。

2. 自動車ローンの名義変更について
自動車ローンなどについては、ローンが完済していない場合は名義変更が出来ないことが多いので、それでも譲渡対象にすべきかどうかを検討しておく必要があります。

契約人変更や名義変更が出来ない場合は、
1. 残債を一括で支払って契約を完了してから移転する
2. 契約者の変更をしないで、買い手企業に実費請求する。
3. 譲渡対象から外す。

尚、2.の契約者の変更をしないで、買い手企業に実費請求する。という方法はあまりお薦めできませんが、金額が大きくない場合などでは検討するのもひとつかと思います。

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赤字や債務超過の会社で赤字や債務超過の会社を売却できるのか?

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赤字や債務超過の会社で赤字や債務超過の会社を売却できるのか?

結論から言うと、できます。
 
もちろん、全ての場合に可能というわけではありませんが、やり方次第で十分可能といえます。

但し、
1. 仲介会社のアドバイザーが実践的・且つ現実的な経営を分かっていないと難しい。

2. 売り手企業のトップもスキームや条件にある程度のアローワンスを持つ必要があり、譲渡が難しい場合の打ち手も用意しておく。
 
3. 相談のタイミングが遅いと手遅れになる場合もある。

などといった条件をクリアする必要があります。

債務超過の場合は株式譲渡は難しいので、事業譲渡をすることになります。収益が上がっている事業を売却するので、残った事業や部門は苦しい状況になります。

ですので、残った部分の対処法を事前に決めておきます。利益の上がっている事業がどのくらいで譲渡が可能かによって、その後の打ち手は変わってきます。

特に、複数事業を行っている企業で収益の高い部門や事業を売却する場合や小売や飲食などの店舗ビジネスの場合で、立地条件が良い店舗や高い収益が見込める店舗は良い条件で譲渡できる可能性が十分にあります。

当然ですが、最終的にM&Aは買い手のニーズと交渉によって決まるものですので、買い手にとって魅力のある事業や会社であれば、契約成立することが可能です。

現実に、債務超過の会社で事業譲渡をしているケースはたくさんあります。

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買い手の選定方法について(売り手企業向け)

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買い手の選定方法について(売り手企業向け)

今日は、どういう基準で買い手企業を選ぶかについて書きたいと思います。

「出来るだけ早く売却したい場合」と「出来るだけ高く売却したい場合」とでは、考え方が違ってきます。
勿論、出来るだけ早く、高く売りたいと思うのは当然ですが、現実的にはこの二足のわらじは両立しないことが多いとお考えください。

「出来るだけ早く売りたい場合」は、主に同業種で積極的に新事業を展開している会社やM&Aの実績を積んでいる会社を中心に考えると比較的早く決まるケースが多いです。しかし、同業種の場合はすでにノウハウなどを持ち合わせているので、買収する目的がピンポイントで決まっているケースが多く、早く決まる分、条件的には厳しくなる場合もあります。

それに対して、「出来るだけ高く売りたい場合」は、同業よりは異業種の会社に話を持ちかけていきます。異業種で売り手企業の業界に新規参入したいと考えている場合などは、「時間」、「ノウハウ」、「安定顧客」などをスタート時から獲得できるので、売り手企業にとって良い条件で話がすすむことがあります。但し、異業種の場合は、売り手企業の業界に精通していないので、売り手企業の状況や調査などに時間がかかるケースが多くスピーディには交渉が進まないことが多いです。

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出来るだけ早く売りたい会社に必要なこと

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出来るだけ早く売りたい会社に必要なこと

今日は、昨日の続きです。

昨日は「買い手の選定方法について(売り手企業向け)」として、売り手企業のニーズによって買い手企業を選定する意味合いについて触れ、出来るだけ早く売りたい場合は同業種へのM&Aが有効であるといった話をいたしました。

今日は、同業種への譲渡を検討する際にどういった手順で考えていけば良いかについて綴りたいと思います。

同業種といっても、売り手企業と全く同じ業種展開をしている会社のみを選定するのではなく、「水平統合」と「垂直統合」の両方で検討するのもひとつかと思います。

つまり、買い手企業を選定する際に考えるべき「軸」は
・業種
・商材
・顧客
・サービス
・バリューチェーン(この場合、流通過程)
などの「軸」を念頭に買い手候補を検討していくと候補先は広がっていきます。

例えば、飲食店を経営している会社売却したいと考えた場合に、「軸」として考えるのが
1. 同業種(飲食店)
2. 商材(業務用食材卸、食品メーカー)
3. 顧客(小売業などのB to C ビジネスをやっている会社)
4. 流通過程(食品の物流会社)
などが挙げられます。

できるだけ早く売却したいとなると同業種を選ぶのが有効ですが、全くの異業種ではなく関連した業種は比較的スムーズに交渉が進むこともあります。

最終的には、売り手企業と買い手企業との間に相乗効果が見込めるかどうかがポイントとなります。

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会社や事業を売却する際の必要条件

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会社や事業を売却する際の必要条件
 
会社や事業を売却する際に必要となる条件について書きたいと思います。
 
1.   買い手企業からニーズが多い業種
トレンドとして買い手企業が多い業種の場合は、複数企業と早急にコンタクトが可能になり、スピーディに話が進むことがあります。当然、買い手企業が多ければ条件的にも有利に交渉が可能になります。
現在、買い手企業が多い業種をご紹介いたします。
 
【買い手企業が多い業種】
物販・小売
食品スーパー
外食チェーン
食品卸
食品製造
ドラッグストア・調剤薬局・薬品卸
運送・物流
学習塾
病院・クリニック
介護サービス関連
ホテル・旅館
人材派遣・人材サービス
金属加工
各種部品製造
不動産・マンション管理・ビルメンテナンス
LPガス販売
ソフトウェア
システム会社
インターネット関連事業
印刷
 
2.   譲渡企業や事業の特筆すべき「強み」、「特徴」などがある
M&Aには「のれん」という考え方があります。「のれん」は有形・無形の価値が見込まれるものがあり、買い手企業に魅力となる他にはない特徴や強みがある会社や事業はアピールポイントになります。例えば、
 
【企業や事業の強みの例】
・優秀な人材がいる
・立地・ロケーションが良い
・知名度・ブランド力がある
・高い技術力やノウハウがある
・顧客に大手企業が多い
・顧客数や顧客リストが豊富にある
などが挙げられます。
 
3.   譲渡企業や事業の将来性
売り手企業が属している業界や産業の将来性や成長性が高ければ、新規参入したいと考える企業は、当然多くなります。
 
4.   譲渡企業や事業の再編が行われている業種
成熟産業や衰退産業の業種の場合、合従連衡などが行われる中で、M&Aニーズが生まれます。業界内の中堅企業や大手企業の子会社として譲渡されるケースがあります。
 
5.   譲渡企業や事業の財務状況や収益状況
財務状況や損益状況はM&Aを行う際には、当然ながら重視されます。財務状況が悪化している場合は株式譲渡ではなく事業譲渡として売却することができます。
 
収益状況が良くない場合は、なぜ収益が悪いのかを明確にすることで、M&A後に収益改善が見込まれるケースもあります。この場合は成約に結びつく可能性は十分にあります。
 
6.   譲渡条件
会社や事業を売却したいときに最も重要となるのが、譲渡条件です。財務状況が良くても譲渡金額の条件が高すぎると成約には結びつきにくく、逆に財務状況がそれほど良くなくても譲渡金額を譲歩できれば買い手は見つかりやすくなります。

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医療法人のM&Aについて

M&A

医療法人のM&Aについて

今日は医療のM&Aについてご紹介したいと思います。

近年、一般企業のみならず医療機関においても後継者不足や保険点数(診療報酬基準点数)の減少などによる経営不振でのM&Aの相談件数が増加しております。

開業医として個人、医療法人として経営してきている以上、必ず経営の出口戦略が必要となります。ご子息や後継者が不在でお悩みの方も多いと思います。

【個人経営のクリニックの場合】 〜事業譲渡〜
クリニックの土地・建物などの不動産、医療用器械などの設備、医薬品の在庫などを第三者に売却します。個人クリニックの場合、自宅としても使用しているケースがありますが、不動産をすべて売却するのか?賃貸として残していくのかもポイントとなります。

事業を承継する方にとっては、新規開業の段階からすでに患者が確保されている段階からスタートできるので、譲渡価額に加味されます。

【医療法人の場合】
医療法人の場合は、出資持分譲渡によるM&Aとなります。一般企業で行われる株式譲渡と考え方は同様に売り手、買い手のオーナー間で出資持分の譲渡契約を交わします。

しかし、医療法人は出資持分が議決権に直接反映されないので一般的には売り手の社員は退社し、買い手の社員が入社する手続きとなります。

【医療法人の第三者への出資持分譲渡の流れ】
1. 出資持分譲渡契約書締結
2. 買い手の新社員の入社、現社員の退社の承認に関する社員総会の開催
3. 新理事、新監事選任に関する社員総会開催
4. 新理事、常務理事選任に関する理事会の開催、出資持分の譲渡
5. 前任の理事長の退職

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小売・飲食業のM&Aについて

M&A

小売・飲食業のM&Aについて
 
今日は、小売・飲食業のM&Aについて触れたい思います。
 
小売業・飲食業のM&Aは近年盛んに行われております。小売・飲食の店舗売却パターンの多くは以下のとおりです。
 
【小売業・飲食業が譲渡されるケース】
1. 事業承継を目的として株式譲渡が行われる事例。
2. スクラップ・アンド・ビルド戦略の一環として事業譲渡が行われる事例。
3. 事業の将来不安から事業譲渡・株式譲渡が行われる事例。
 
小売・飲食業界は長く厳しい時期が続いております。ここ10年を振り返ってみると、
1. 総額表示による粗利率低下
2. 消費意欲の低下・デフレによる価格競争激化
3. 原油高騰による原価上昇
4. オーバーストアによる価格競争
5. 労基署の厳しい取締りによるコストアップ
6. 社会保険料の値上げによるコストアップ
 
など、年々環境が厳しくなる中、熾烈な生き残りをかけた状態が続いていることと思います。
 
そういった中で、多くの経営者の方々が引退の年齢を迎えています。
 
労働集約型の小売・飲食業には従業員数が多い会社も多く、譲渡を考える上で譲渡後の従業員問題については、お悩みの方も多いと思います。
 
一見なじみやすく見える小売・飲食業でも、市場流通を活用した商慣習のある意味「独特な業界」の顔も併せ持つ業界でもあります。
 
私は、長年にわたりチェーンストア経営に携わってきた経験から、小売・飲食業の方には特に経営者の心のひだの部分を理解できると思っています。そもそも当社は、かつての自分自身と同じ悩みをもっておられる経営者の手助けをしたいと考え設立した経緯があります。
 
小売・飲食業の経営者の皆様にエールを送ると共に、ひとりでも多くの経営者のお手伝いをしてハッピーリタイアしてもらいたいと心からそう考えています。
 

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会社・事業・店舗を売却する際に必要となる書類について

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会社・事業・店舗を売却する際に必要となる書類について
 
会社・事業・店舗の売却を行う際に必要となる資料をご紹介いたします。この必要書類は買い手企業がM&Aを検討するのに必要となる資料です。
 
どんなに良い会社・事業・店舗であっても、買い手企業にアピールできなければ意味がありません。
 
必要資料の一覧は以下のようになります。
 
【M&Aで会社を譲渡するのに必要資料】

自社アピール
1. 自社のアピールできる資料や材料(雑誌掲載やコンクール賞状など)
2. 事業計画書(今後3ヵ年程度の売上・利益の見通し)
基礎資料
1. 商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
2. 定款
3. 株主名簿
4. 会社案内
財務資料
1. 決算書関係一式(税務申告書、決算書、勘定科目内訳書(直近3期分) )
2. 月次試算表(事業ごと)
人事資料
1. 組織図
2. 役員・部門長の経歴書
3. 従業員名簿
4. 就業規則、退職金規定など各種規定
契約関連
1. 取引先との契約書
2. 賃貸借契約書
3. リース契約書一覧
4. 保険契約書一覧
5. 許認可などの写し
6. その他経営にかかわる重要な契約書

 

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譲渡金額はどのようにして決まるのか?(交渉段階)

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譲渡金額はどのようにして決まるのか?(交渉段階)

会社や事業・店舗を売りたい場合、交渉段階で譲渡金額はどのようにして決まるのか?について綴りたいと思います。

企業評価の算出方法としては、様々な算出方式がありますが、中小企業同士のM&Aの場合、実際の交渉では厳密には重視しない場合も結構あります。

では、どのような考え方で譲渡金額のベースが決まるのか?についてご紹介いたします。

【譲渡金額の決定要素のひとつ】〜投資回収年数について〜
買い手企業は、会社や事業・店舗を譲り受けるのに支払う買収代金を5年〜7年以内に回収したいと考えるのが一般的です。

業種にもよりますが、小売・飲食などの現金商売を行っている業種などは3年程度と考える会社も多くなっています。

それには買い手企業の資金状況にも寄る所もあると思います。全額自己資金で買収するのではなく、借入を起こして買収するケースは金融機関の審査が厳しくなっている関係もあって回収年数をシビアに見てくる傾向があります。

つまり、買収後に年間500万円キャッシュを生み出す会社や事業・店舗と仮定すると、1,500万〜3,500万の範囲となります。(これはあくまでも参考例です)

この考え方はディスカウントキャッシュフロー方式の考え方と基本的には似ています。

この段階では金額に相当幅があります。ここから、様々な要素を加味して当社による金額調整が行われていきます。

売り手や買い手企業の特徴やオーナー経営者の人柄など様々な観点から決まってくるので、金額は算数では出されるものでもありません。

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